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【IT用語】 SaaSのビジネスモデルに必要な職種を、具体例を挙げて解説
SaaSとは、インターネットを使って利用できるサービス(Google Calender, Dropbox等)のことです。
SaaSの基礎情報
この章では、Saasの基礎情報について解説します。
クラウドとは?
最近クラウドという言葉をよく耳にすることが多いと思いますが、クラウドとはインターネット上で使えるサービスのことです。
皆さんはクラウドという言葉をよく耳にはするけど、意味がわかっていないという人も実は知らず知らずのうちにクラウドを使っています。
GmailやYahoo Mailを使ったことがない人は少ないと思いますが、そういったインターネット上で使えるものがクラウドになります。
インターネット上で使えるサービスは本当にたくさんあり、クラウドのサービスの中でも大きく3つに分けられます。
↑のSaaSは上記で説明したGmail, Dropbox等のインターネット上でパッケージとして利用されるサービスのことです。
PaaSや、IaaSは開発者の人が使うサービスでITとは関係ない仕事をしている人が使うことはまずありません。
なので、3つのうちのSaaSだけが世の中のエンドユーザーが使っているサービスになります。
Saasの特徴
SaaSとは、インターネット上でパッケージとして提供しているサービスと説明しましたが、具体的な特徴は以下の3つあります。
- データをインターネット上に保存できる
- ネットさえつながっていたらどんな端末でもアクセスできる
- 複数の人間が同一データを共有し編集もできる
これらの特徴で当てはまるもので日常でみなさんがよく使っているもので、Google Calenderというものがあると思いますが、それを想像してみてください。
Google Calender
Google Calenderだと自分の予定を知人にも共有できます。
予定を保存や編集した瞬間にリアルタイムで共有している人たちにも反映されます。
Google Calenderはどんな端末でもアクセスできるし、クラウド上でデータが保存されているし、編集したことも共有しているユーザーに即時反映されています。
Google Calenderを今例に挙げましたが、
- データをインターネット上に保存できる
- ネットさえつながっていたらどんな端末でもアクセスできる
- 複数の人間が同一データを共有し編集もできる
これらの特徴を有しているサービスは他にも沢山あります。
それらをSaaSと呼びます。
SaaSで必要な職種
前章まででSaaSの特徴については分かったと思うので、この章ではSaaSというサービスで必要な職種についてとウェブサービスを作ってから顧客に利用され続ける様になるまでがどの様な経緯を辿るか解説したいと思います。
SaaSは以下の流れで、様々な職種の人たちが助け合う事で、顧客に継続的に利用され続けるようになります。
- エンジニアが、Webサービスを開発、随時機能の改善を行いサービスの品質を向上させる
- マーケッターが、Webサービスでどんな悩みを解決できるかをSNSやブログで発信して見込み客を獲得していく
- インサイドセールスで、見込み客に対して、課題に感じている点をヒアリングしてアポイントを取る
- フィールドセールスで、成約の可能性が高い見込み客にクロージングする
- カスタマーサクセスが、サービスを通じて顧客の課題を解決し顧客の満足度を上げる
- プロダクトマネージャーが、プロダクトに関わる職種全体の仕事が滞りなく回る様にマネジメントする
この様にSaaSは、Webサービスを作って終わりではありません。
Webサービスを作ってからサービスの品質を向上させるために、様々な職種が協力し合い顧客の課題が何かを調査しながら、常にサービスの改善を図ります。
SaaSのビジネスの流れは以下になります。
エンジニア(サービスを開発)→ マーケッター(見込み客を獲得)→ インサイドセールス(成約の高い見込み客を選定)→ フィールドセールス(クロージング)→ カスタマーサクセス(顧客の課題を解決)→ プロダクトマネージャー(1〜5の流れを調整)
それではSaaSでは、職種ごとにどの様な仕事をするのか?どんな知識が必要なのか?を解説していきます。
エンジニア
エンジニア(サービスを開発) → マーケッター(見込み客を獲得)→ インサイドセールス(成約の高い見込み客を選定)→ フィールドセールス(クロージング)→ カスタマーサクセス(顧客の課題を解決)→ プロダクトマネージャー(1〜5の流れを調整)
SaaSはWebサービスを作って終わりではありません。Webサービスを作った後に顧客にヒアリングを続けながら、より価値の高いサービスへとアップデートし続ける必要があります。
またSaaSは複数の企業が利用するので、〇〇社だけに特化した機能を作ると、利用する全ての会社に影響が出てしまうので、追加する機能の選定には注意しなければなりません。
自分たちのサービスが何を実現したいか?そして全ての企業の満足度を上げる機能が何かを考えながら、機能を改善し続ける必要があります。
つまりソースコードは、メンテナンス性の高い設計にしておくと、サービスが伸びていくときにソースコードを綺麗に保ったまま拡張していけます。
逆にメンテナンス性が悪ければ、 小さい内は回るかもしれませんが機能が大きくなっていくにつれて、開発が辛くなっていきます。
そこでSaaSでよく用いられるアジャイル開発に触れていて、尚且つメンテナンス性の高いソースコードを設計するための本を紹介します。
この本を読んでアジャイル開発について理解を深めて、メンテナンス性の高いソースコードを書きましょう。
マーケティング
エンジニア(サービスを開発)→ マーケッター(見込み客を獲得)→ インサイドセールス(成約の高い見込み客を選定)→ フィールドセールス(クロージング)→ カスタマーサクセス(顧客の課題を解決)→ プロダクトマネージャー(1〜5の流れを調整)
SaaS企業でのマーケティングは、インバウンドマーケティングという手法がよく使われます。
インバウンドマーケティングとは、自社のブログやSNSなどで価値あるコンテンツを発信し、SEOなどで集客するマーケティング方法になります。
広告と聞くと、コマーシャルであったりweb広告であったりと大きいメディアを使って自社の商品を宣伝するイメージがあると思います。この様な広告はアウトバウンドマーケティングと呼ばれており、情報が片方の発信だけで終わります。
インバウンドマーケティングでは片方の発信では終わらず、ユーザーが価値ある情報をサイトから受け取り、その会社のファンになって資料請求をすることによって、会社の見込み客になります。
インバウンドマーケティングは以下の点で、SaaSと相性が良いマーケティング方法になります。
- アウトバウンドマーケティングと違い、コストが安い
- 資料請求をしているので、見込み客の質が高い
- オウンドメディアなどの発信でファンにできるので、他のSaaS商品ともコンテンツで差別化を図りやすい
インバウンドマーケティングのメリットが伝わりましたか?
少し古いですが、インバウンドマーケティングについて丁寧に解説している本を紹介します。
インバウンドマーケティングについて詳しくない人には、インバウンドマーケティングがなぜ必要なのか?そしてその方法論について丁寧に一つずつ解説されているので、オススメする良書です。
インサイドセールス
エンジニア(サービスを開発)→ マーケッター(見込み客を獲得)→ インサイドセールス(成約の高い見込み客を選定)→ フィールドセールス(クロージング)→ カスタマーサクセス(顧客の課題を解決)→ プロダクトマネージャー(1〜5の流れを調整)
インサイドセールスとは成約の可能性が高い見込み客を見極め、優先的に営業していく営業スタイルになります。
インサイドセールスには以下の特徴があります。
- 見込み客に訪問しない
- 資料を請求してくれた成約の可能性が高い見込み客にヒアリングする
- 成約の可能性が低い見込み客にはメールや電話で時間をかけて関係性を築いていく
この様に「訪問営業を沢山こなす」や「ひたすらテレアポを沢山こなす」ということはせず、オウンドメディアの発信などで獲得した見込み客リストから、ヒアリング等をして顧客とさらに信頼性を高めてからアポイントメントにつなげることが、インサイドセールスの役割になります。
インサイドセールスの教科書ともいうべき本を紹介します。
こちらの本は、インサイドセールスをこれから始める人にとって分かり易くどういうものか解説されています。
そして現在インサイドセールスをしている人にも、具体的なインサイドセールステクニックについて解説されているので役立つ本になります。
インサイドセールスについて詳しく知りたい!という方だったり、現在インサイドセールスをしていてもっと成長したいという方はぜひ本書を読んでみてください。
フィールドセールス
エンジニア(サービスを開発)→ マーケッター(見込み客を獲得)→ インサイドセールス(成約の高い見込み客を選定)→ フィールドセールス(クロージング)→ カスタマーサクセス(顧客の課題を解決)→ プロダクトマネージャー(1〜5の流れを調整)
フィールドセールスとは、見込み客のところに訪問し直接サービスについての説明や提案をして商談を受注へと繋げる営業方法になります。
フィールドセールスはインサイドセールスを導入することで、高い効果を発揮できます。
従来の営業方法では、見込み客の獲得、商談、受注まで全て一人で行うことが多いです。そうすると、セールス力のある営業マンも成約の確率が低い見込み客の獲得に時間をかけたりして効率が悪いです。
そこでインサイドセールスとフィールドセールスを分けることで、セールス力のある営業マンはフィールドセールスで成約の確率が高い見込み客に対してだけ営業をかけることができるので、非常に効率が良くなります。
フィールドセールスをしている人は、セールス力がありクロージングに持ち込む役割の人か、インサイドセールスやインバウンドマーケティングを取り入れていない会社の人が多いのではないかと思います。
そこでマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスという一連の部門で何をするべきかが纏まっている良書を紹介します。
カスタマーサクセス
エンジニア(サービスを開発)→ マーケッター(見込み客を獲得)→ インサイドセールス(成約の高い見込み客を選定)→ フィールドセールス(クロージング)→ カスタマーサクセス(顧客の課題を解決)→ プロダクトマネージャー(1〜5の流れを調整)
カスタマーサクセスとは、顧客が抱えている課題をサービスを通じて解決できる様にサポートし、顧客を成功に導くことです。
SaaSが流行る様になった理由として、SaaSにはサブスクリプション型のビジネスモデルが多いことが挙げられます。従来は「商品を買って終わり」という形態のビジネスモデルが多かったですが、サブスクリプション型のビジネスモデルは顧客がサービスの契約をしてからも、顧客に継続して使ってもらえる様にサポートする必要があります。
つまり顧客になってからは、解約率を下げず使い続けてもらえる様に支援する必要があります。
そこで出てきたのが、カスタマーサクセスです。カスタマーサクセスは、顧客が抱えている課題をヒアリングし、どうすればサービスを通じてその課題を解決できるかサポートし続けます。
そして顧客がサービスを通じて課題を解決し高い満足度を維持し続けるのが、カスタマーサクセスの仕事になります。
顧客がサービスを解約しない限り、定期的に売り上げが入ってくるのでカスタマーサクセスがいかに重要な仕事かよく分かると思います。
「 カスタマーサクセスって聞いたことはあるけど、よく分かっていない」という方に勧める本がこちらです。
この本を読めば、「カスタマーサクセスって一体何?」という疑問が解決され、「カスタマーサクセスをどう進めていけば良いか」も分かる様になります。
カスタマーサクセスに興味を持っている人にはぜひお勧めしたい良書になっています。
プロダクトマネージャー
エンジニア(サービスを開発)→ マーケッター(見込み客を獲得)→ インサイドセールス(成約の高い見込み客を選定)→ フィールドセールス(クロージング)→ カスタマーサクセス(顧客の課題を解決)→ プロダクトマネージャー(1〜5の流れを調整)
プロダクトマネージャーとは、プロダクトをマネジメントする人です。つまり、プロダクトに関連する全てにおいてマネジメントし、成果を出す役割になります。
プロダクトマネージャーの役割は、以下の特徴があります。
- カスタマーサクセスと共に顧客にヒアリングし、顧客の課題を把握する
- 利用され続けるために必要な機能を考え、開発チームと作る機能をすり合わせる
- セールスチームに機能の強みなどのすり合わせをする
この様にプロダクトの成果を出すためにあらゆる職種と関わって、プロダクトの価値を最大化できる様に働きかけるのがプロダクトマネージャーの仕事になります。プロダクトマネージャーがうまく機能しなければ、関わる部署でコミュニケーションがうまく取れなくなり意思決定も難しくなります。
この様にプロダクトマネージャーはプロダクトに関わる各部署間でうまくプロダクトを回せる様に調整をし、プロダクトの価値を最大化する意思決定をしていくのがプロダクトマネージャーの仕事になります。
プロダクトマネージャーを始めたばかりの方は、ぜひ以下の本を読んでみてください。
プロダクトマネージャーは書いた通り、多くの職種の人たちと関わり合うので幅広い業務知識が必要になります。この本はプロダクトをマネジメントする上で幅広い業務内容を網羅している内容になり、プロダクトマネージャーを始めたばかりの人には一通りの知見が揃う良書になります。
この記事のまとめ
- SaaSとは、インターネットを使って利用できるサービス(Google Calender, Dropbox等)のこと
- データをインターネット上に保存できる・ネットさえつながっていたらどんな端末でもアクセスできる・複数の人間が同一データを共有し編集もできる
- SaaSのビジネスモデルは、「エンジニア・マーケッター・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセス・プロダクトマネージャー」と色々な職種が関わり合うことで、顧客に利用され続ける