効果的なプロンプトの書き方
このカリキュラムではChatGPTがより自分の欲しい回答を返してくれるための効果的なプロンプトの書き方について学びます。
プロンプトとは
プロンプトは、AIに対する指示や要求の形式です。この用語は、ユーザーが機械やソフトウェアに対して何かを行うよう促すための命令や質問として用いられます。つまり、プロンプトはコミュニケーションの開始点となる要素であり、AIの反応やその後のアクションを導く役割を持っています。
プロンプトが適切であると、AIはより精確にユーザーの意図を理解し、目的に合った結果を提供できるようになります。逆に、プロンプトが不明瞭または不完全だと、期待される結果を得ることが困難になることがあります。このため、効果的なプロンプトの作成は、AIとのやり取りにおいて非常に重要です。
このように、タスクを実行するために最適なプロンプトを設計するアプローチをプロンプトエンジニアリングと呼びます。
プロンプトの基本要素
プロンプトは、AIとの効果的な対話を実現するための重要なツールです。ここでは、効果的なプロンプトを作成するための基本要素について詳しく説明します。
1. 明確性
明確性は、プロンプトの意図がはっきりしていることを指します。つまり、質問が明確で、どのような回答が求められているのかが容易に理解できる状態を指します。明確なプロンプトは、誤解や余計な解釈を避けることができ、AIが正確な情報を提供しやすくなります。
- 不明瞭なプロンプト
天気予報を教えて。このプロンプトでは、どの地域の天気予報かが不明確です。
- 改善後のプロンプト
明日の東京の天気予報を教えてください。地域と日付を明確に指定することで、AIは具体的な情報を提供できます。
2. 具体性
具体性は、プロンプトに詳細を加えることで、より特定の情報を求めることを意味します。具体的なプロンプトは、AIにより深いレベルでの理解や詳細な回答を引き出すことができます。
- 一般的なプロンプト
美味しいレストランを教えて。どの地域の何の種類の食事についてかが不明です。
- 改善後のプロンプト
ニューヨークでイタリアンの美味しいレストランを教えてください。地域と料理の種類を指定して具体性を増します。
これらの基本要素を組み合わせて使用することで、AIとの対話がより効果的で満足度の高いものになります。プロンプトを作成する際は、これらの要素を意識して、AIに対して明確で簡潔、かつ具体的な指示を出すように心掛けましょう。
明確性と具体性は似ているように感じますが、明確性は「何を聞きたいか」がはっきりしている状態を指し、具体性は「どれほど詳細な情報を求めているか」を示しています。
明確性が高いプロンプトは、目的がはっきりしていて誤解が少ないです。一方で、具体性が高いプロンプトは、非常に詳細な情報を求め、それに応じた詳細な回答を得ることができます。どちらも重要ですが、使い方によって得られる回答の質が異なるため、状況に応じて適切に使い分けることが重要です。
3. 簡潔性
プロンプトを簡潔に保つことで、AIは迅速に解析し、回答を生成できます。簡潔性を高めるためには、余計な言葉を削除し、直接的な表現を使用することが重要です。不要な接続詞や修飾語を省略し、要点を明確に伝えることが効果的です。また、間接的な表現や遠回しの言い方を避け、プロンプトの意図を直接的に述べることで、AIは要点を迅速に把握し、適切な回答を返すことがより容易になります。
- 冗長なプロンプト
私は本を読むのが好きだから、読書に関するおすすめの本があれば教えてほしいです。余計な背景情報が含まれています。
- 改善後のプロンプト
読書のおすすめの本を教えてください。不要な情報を削除し、必要な要求のみを簡潔に伝えます。
4. 条件をつける
処理する情報量を限定するために、条件を設定することも有効です。例えば、回答に含めてほしい情報や除外したい情報を明確にすることで、AIの回答をより適切なものに導くことができます。
- 一般的なプロンプト
ケーキを買ってきて。買ってきて欲しくない情報が抜けています。
- 改善後のプロンプト
チョコレートのケーキを買ってきて。でも、ナッツが入っているものは避けてね。条件をつけることでレスポンスを絞り込むことができます。
「条件をつける」は「具体性」と同じように見えますが、以下の点で異なります。
- 「具体性」は、プロンプトに含まれる情報の詳細度を増やすことに関連しています。これは、AIが提供する情報やアクションの内容をより正確に理解するのを助けます。
- 「条件を付ける」は、AIが取るべきアクションや提供する情報に特定の制限を設けることで、レスポンスを特定の範囲に絞り込むのに役立ちます。
5. 否定形を使わない
プロンプトを設計する際には、「しないこと」よりも「すること」を明確に指示することが重要です。このアプローチにより、指示がより具体的になり、AIモデルが適切な回答を提供しやすくなります。否定形ではなく肯定形を使うことで、明確な行動指示に焦点を当てることができ、結果としてモデルからの回答の質も向上します。
- 一般的なプロンプト
スパムメールを削除しないでください。否定的な言葉が含まれています。
- 改善後のプロンプト
スパムメールを保持してください。肯定的な言葉を使うことで誤解のリスクが減ります。
プロンプトエンジニアリング
このように、AIに対して自分が望むような回答を得るためにプロンプト(指示文)を作成する技術をプロンプトエンジニアリングと言います。プロンプトエンジニアリングは、AIを効果的に利用するための重要なスキルであり、このスキルを専門にするプロンプトエンジニアという新しい職業も生まれています。
主なプロンプトエンジニアリングに以下のものがあります。
Zero-shotプロンプティング
Zero-shotプロンプティングは、AIに対して事前情報を一切伝えずに、指示だけで回答を返させる技術です。この場合、AIは事前に学習した知識をもとに回答を作成します。多くのプロンプトはこのZero-shotプロンプティングに該当します。
Few-shotプロンプティング
Few-shotプロンプティングは、AIに対していくつかの具体的な例や情報を与え、そのパターンを学習させた後に回答を作成させる手法です。これにより、Zero-shotプロンプティングよりも自分が望む回答を得やすくなります。
Tree of Thoughtsプロンプティング
Tree of ThoughtsプロンプティングはAIが一連の考えをツリー構造で整理しながら進める手法です。複数の選択肢やアイデアを並行して検討し、それぞれの結果を評価することで、最適な解決策を見つけることができます。
Incrementalプロンプティング
Incrementalプロンプティングは、タスクを小さなステップに分割し、段階的にモデルに指示を与える手法です。これにより、複雑なタスクでも各ステップを確実に進めることができます。
ゴールシークプロンプト
ゴールシークプロンプトゴールシークプロンプトは、まずあいまいなゴールを設定し、そのゴールに必要な情報をAIに質問させることで、段階的に問題を解決する手法です。
深津式プロンプト
深津式プロンプトは、深津貴之さんによって考案されたプロンプトのフレームワークです。これは、AIに具体的な役割や条件を伝えることで、ユーザーが望む回答を得やすくする技術です。
このカリキュラムのまとめ
このカリキュラムでは、ChatGPTとの効果的な対話方法を学ぶための技術について詳しく解説しました。プロンプト技術を使いこなすことでAI技術をより効果的に活用し、具体的なニーズに合わせた高品質な結果を得る能力を向上させましょう。
重要なポイントをおさえよう!
- ChatGPTに対する指示や質問文をプロンプトと呼ぶ
- 自分が欲しい回答を効果的に得るためにはプロンプトに工夫が必要
- プロンプトエンジニアリングは、AIとの対話を最適化し、その結果の品質を高めるための重要な技術
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